2008年09月07日
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井の頭線明大前駅ホームに存在した「無事湖」の謎は解けるか?

Written By: 川俣 晶連絡先

 桜上水Confidentialさんの明大前駅の話題は興味深く読んでいます。

帝都線開業前の、京王線現明大前駅付近線路構造(2) より

ふとした疑問へ、いろいろな方々からご協力いただき、北沢川上流、忘れられてきた郷土の姿が少しずつ復刻されてくる。

いわばたくまざる地域BLOGの共同作業。

稚拙な表現だが、とてもうれしいです。

 前にも書きましたが、私が期待するのは「自分で解き明かす」ことではなく、「不思議なことが分かる」ことです。ですから、そのための一助として知っていることを提供するのは嬉しいことであるし、いろいろな人の知識が寄り集まって1つの過去像が浮かび上がってくるのは楽しいと感じます。

帝都線開業前の、京王線現明大前駅付近線路構造(2) (きむらたかし@三田用水さんのコメント)より

昭和4年のこのあたりの地形図ですと…

世田谷区の発行している復刻版が、結構クリアです。

 しまった!

 その地図なら私も持っているし、よく見てましたよ!

 ただし下高井戸周辺のみ…… (汗

 それに思い至らなかったのはうかつ!

無事湖の謎 §

 それはさておき。

 この話題、あまり意識したことがない別の「不思議」に突如スポットライトが当たるという驚きをもたらしました。

 それは、つい最近まで明大前駅下りホーム上にあった小さな池「無事湖」の由来についての示唆です。

帝都線開業前の、京王線現明大前駅付近線路構造(2) (きむらたかし@三田用水さんのコメント)より

蛇足ながら…

レイル11号(プレス・アイゼンバーン,S59/04/07刊)52ページに、鉄道趣味:昭和8年9月号の「帝都電鉄線路縦断面図」が転載されています。

同図によれば、東松原駅から西松原に向かう、ほぼ中間点から神田上水の谷までの区間は「切土」となっており、昭和14年の地形図なども参照すると、この区間は、件の谷間の右(西)岸の法面を削って通しているようで、そのために、線路の東側にも切土面があったのでしょう。

先日まで明大前駅の下りホームにあった「無事湖」も、最後はポンプで水を循環させていましたが、もともとは、この切土面からの湧水が水源だったのでしょうね。(2008.09.06 11:58:27)

 そうか!

 単に責任者の趣味であるとか、場所が余ったからであるとか(2面4線の駅になるときには余らないが)、そういった理由の他に、そこに湧水があったからという理由も考えられるのか!

 詳しい話は飛ばしますが、確かにそれがあってもおかしくない場所と地形です。

とすれば…… §

 無事湖と並んで目に付く下高井戸市場の池(下高井戸駅の北口から出てすぐ目の前にある池)にも意外な由来があったりするのでしょうか? (そのような可能性は考えたこともなかったので、調べようと思ったこともない)

余談 §

 レイル11号見てみたいですね。しかし、近所の図書館を蔵書検索しても出てきません。鉄道趣味は検索するとYahooのオークションが引っかかりましたが(戦前鉄道雑誌鉄道昭和8年9月号第53号貴重な写真資料が満載)、これは別の雑誌らしい。(鉄道鉄道趣味は別の雑誌)

 いやまあ、たとえ現物でも、最近ちょっと散財しすぎているので開始価格: 5,000 円の高価な図書を競り落としには行けませんが。

 やはり、戦争は1つのハードルという印象を受けます。それを超えてそれ以前にまで追求の手を伸ばすと、急に資料を揃えるだけでも苦労させられてしまいます。

下高井戸周辺史雑記